出荷ラベルを使ったトレーサビリティーについては、「食品の回収リスクを激減する出荷ラベルトレースシステム」でご紹介しましたが、出荷ラベルを発行後に、直ぐ様出荷を行う場合もありますが、製品倉庫で一旦在庫管理を行う場合もあると思います。

今回は出荷ラベルを貼り付けた製品を製品倉庫で管理する運用を想定し、在庫管理システムを連動したトレーサビリティーシステムについてご紹介したいと思います。

この記事の目次

・在庫管理システムとは?基本となる在庫管理の機能を紹介
・製品の情報を収集する完成品倉庫の入庫トレースの運用事例
・出荷作業で個体出荷のトレーサビリティー実績を管理

在庫管理システムとは?基本となる在庫管理の機能を紹介

在庫管理システムの概略についてご紹介したいと思います。工場では原料や部品、完成した製品を倉庫内で保管するのですが、倉庫管理の内容を手作業で行うと数量ズレや記入の間違い、リアルタイム性が乏しくなるめシステムを使ってリアルタイムに高い精度で管理を行う仕組みの事です。

機能としては入庫・出庫・庫内の在庫の数量管理や入庫後の倉庫の保管場所の管理(ロケーション管理)、出荷時に先入先出など古い日付の製品を優先して出荷をする管理、月に一度財務帳票と突き合わせを行う際に用いる棚卸し管理などを行うシステムになります。

機能としては上記以外にも多くありますが、今回はトレーサビリティーに関係する入庫と出庫についてご紹介したいと思います。

製品の情報を収集する完成品倉庫の入庫トレースの運用事例

倉庫へ入庫を行う前に入荷作業または最終工程時に検品作業として完成した製品のチェックを行い、良品であれば箱詰めし出荷ラベルを発行して箱に貼り付けます。

この発行する出荷ラベルには製品情報、製造日付、ロット情報がQRコード内部に保存され、個体認識ができる状態にしておきます。

この状態の箱を完成品倉庫へ入庫するのですが、保管を行う棚入れ作業時にハンディターミナルを使って、各棚に貼り付けられた棚番号をスキャンし、その後製品に貼り付けられた出荷ラベルのQRコードをスキャンして保管します。

この作業は「どの箱を何処に保存したか」を倉庫内の番地情報と製品の箱情報を紐づけてシステム内に保存しておく作業になります。

この作業を行うとシステム内で日付管理を行い、出荷時の先入先出管理を実現することができます。食品業界では日の管理は徐々に廃止され月までの管理となっていますが、日付管理を実現すると古い製品の未出荷を防止できますし、古い日付の製品を順序立てて出荷する事が可能となります。

また棚入れ時はどの棚に空きがあり棚入れできるかを、システム内部で管理しているので、空いている棚を探すことなく効率よく棚入れ作業を実施することが可能です。
完成品の在庫管理から始める庫内出庫トレース事例のご紹介01

出荷作業で個体出荷のトレーサビリティー実績を管理

実際に製品出荷を行う場合は、「ピッキングリスト」と呼ばれる出荷先別の出荷情報を元に作業を行います。この「ピッキングリスト」には、どのお客様へ・いつ・どの製品を・どのロケーションピッキングして・何個出荷するか等が印刷されています。

そのためこの「ピッキングリスト」の番号情報をハンディターミナルでスキャンし情報を認識し「ピッキングリスト」の情報に沿って出荷作業の準備を行います。

製品を取り出す場合は「入庫作業」と同じように棚番号をスキャンして、取り出した製品の出荷ラベルをスキャンします。この作業を行うことで「どの棚番号からどの製品が取り出された」のかが分かり、また誤って異なる製品のQRコードをスキャンした、または同じ製品だが日付の古い製品をスキャンした場合は、ハンディターミナルに警告が表示され出荷ミス防止が実現します。

この一連の作業を行うことで、出荷実績のデータがシステム内で収集され、トレーサビリティーデータとして活用することが可能となり、出荷された製品に不具合などリコールに繋がる問題が生じた際に利用することが出来るようになります。

完成品の在庫管理から始める庫内出庫トレース事例のご紹介02

出荷ラベルの実績収集を行うだけでも、トレーサビリティーデータとして利用が可能ですが、出荷製品の間違い、出荷数量の間違い、古い製造日付の製品の混在など出荷の精度を上げて未然に誤出荷に繋がるミスを防止し、トレーサビリティーデータを併せて収集することで、より精度が高い製品管理を実現することが可能となります。

出荷ラベル発行システムをご導入いただくお客様には、併せて完成品倉庫の在庫管理システムの導入をオススメしており、第一段階では出荷ラベル発行から始め、現場作業が慣れた所で第二段階として在庫管理システム導入をご提案しております。

システム導入に当たっては現在の倉庫管理の運用状況を実際に現場で拝見させてもらい、システム化を行った後に不要となる作業部分、改善できる作業部分、既存運用でのご不満な部分など、全体の運用についてヒアリングさせて頂きまして、ご提案並びにシステム開発をさせて頂いております。

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