前回の記事で「飲料製造業界のトレーサビリティーシステム」の実例をご紹介しましたが、システム導入後に原料や製品に問題が発生した場合、どのようにシステムを活用して製品リコールに対応を行うのでしょうか。ここでは二種類のトレース方法である「トレースフォワード」と「トレースバック」を元にした、回収業務までの流れをご紹介したいと思います。
この記事の目次
・原料に問題が発生した場合に「トレースフォワード」
・製品に問題が発生した場合に「トレースバック」
・「トレースフォワード」と「トレースバック」の紹介記事
原料に問題が発生した場合に「トレースフォワード」
製品を製造する「原料」に問題が判明した場合。原料が入庫された際に貼られた入庫ラベルを元に、問題となった原料のロット情報から工場に入荷された日付を特定します。
次は特定した原料が「何時の生産」に利用され、「どの製品」に含まれるのかを洗い出し、製造された製品が既に出荷されたのであれば、「出荷日」と「出荷先」を特定して回収通知や回収業務を行います。
製品に問題が発生した場合に「トレースバック」
消費者からの製品クレームが発生した場合。ペットボトルの本体には「レーザーマーカー」や「インクジェットプリンター」によって、生産工場や生産ラインや日付情報が個体情報として表示されています。
このペットボトル本体の情報は段ボールの出荷ラベル情報と紐付けられているため、「生産日」を特定して、クレームがあった問題点を分析して、製造の川下から遡りながら生産ラインの問題箇所の特定を進めます。
問題箇所を特定した後は、今度は問題箇所が「その他の製品」に影響を及ぼしてないかを、今度は「トレースフォワード」にて調査特定をし、その他製品を含めて「出荷先」や「出荷日付」を特定して回収通知や回収業務を行います。
原料に問題が発生した場合は「川上から川下」へ原料が関係する工程を洗い出し、関係する製品を特定して「出荷日付」と「出荷先」を元に回収調査が可能ですが、完成品に問題が発生した場合(消費者からのクレーム)は、まずは「問題箇所の特定」を行うために「川下から川上」へ調査し原因追求を行います。
原因を特定した後に、その問題点が単一品にのみ影響するのか、その他製品にも影響を及ぼした問題なのかを特定する必要があり、そのため「トレースバック」と「トレースフォワード」を連動させた調査を行います。
多品種の大量生産を行っているペットボトル飲料製造工場の場合は、出荷数が多いため問題特定までの調査時間が非常にかかってしまうため、トレーサビリティーシステムを利用することで、スピーディに問題箇所を特定し回収業務に移ることが可能となります。
問題特定の時間がかかると、その他の消費者からのクレームが発生する可能性も高くなり、企業イメージや賠償問題に繋がる可能性もあり、問題解決までの時間短縮は大切なポイントとなります。
今回ペットボトル飲料を元にご紹介しましたが、基本的にはその他食品製造のトレーサビリティーも同様な方法で運用が可能です。中国でのトレーサビリティーにご興味がある場合は、弊社までお気軽にご相談ください。
「トレースフォワード」と「トレースバック」の紹介記事
この記事でもご紹介しています「トレースフォワード」と「トレースバック」の詳しい紹介については、こちらを御覧ください。
「川上と川下から押さえ込めトレースフォワードとトレースバック」