製造工場では「現品票」と呼ばれる紙ラベル(紙媒体)を納品物へ貼り付けて出荷することがあります。この「現品票」は納品物に貼り付けるだけではなく製造工場内の生産管理の運用に流用すると、追跡管理に活用できリコール発生時の回収管理に一役買うことが可能です。ここでは「現品票」の簡単な紹介や「現品票」の種類、「現品票」の生産管理での運用の流れ、運用時の注意点をご紹介したいと思います。
この記事の目次
・製造工程や納品時に活用する現品票について
・メーカー現品票と社内現品票の関係性について
・現品票の運用時の注意点でよくある問題点について
製造工程や納品時に活用する現品票について
「現品票」は工場で生産された製品や加工品、半製品などのある一定の個体数を管理するために実際の物品に貼り付ける伝票で、この「現品票」を製造工場内や出荷時に管理を行う一つの基準情報として活用しています。
例えば工場内で利用するカート1台に対して「現品票」を1枚貼り付ける、出荷する1カートンや1パレットに「現品票」を1枚貼り付け、カートンやアレットの物品の個体数と「現品票」の記入された個体数を紐付けて管理しています。
この「現品票」には物品に関する管理情報が記載されており、例として品番コードや品番名称など品番に関する情報、「現品票」1枚で管理する入数などの数量、どのような工程で推移するか、何処に運ぶかなど移動先の情報、出荷日や製造日などの日付情報、QRコードやバーコードを付与して品番コードや日付、左側部品・右側部品、シリアル番号などを保存して管理など、各会社で必要として管理上必要となる項目を記載しています。
紙のサイズについてもサイズは各社で様々で、大きい場合はA4サイズ一枚、A4サイズ三等分または四等分などのサイズで利用を行っています。
メーカー現品票と社内現品票の関係性について
「現品票」は導入する会社の利用形態について様々なフォーマットがあり、記載する項目についても会社単位でそれぞれ形態が異なっています。しかし先にも述べた通りメーカーと納品するサプライヤーで統一をして運用を行う事で、物品管理の効率化を計り運用を行っています。
メーカーはサプライヤーに対して「メーカー現品票」を提供して、サプライヤーからメーカーへの出荷時に製品に対して「メーカー現品票」の貼り付け指示を行います。この理由はメーカーが各サプライヤーから入荷した製品を元に最終工程品を製造する際に、メーカーの工場内で統一した「現品票」で製造管理を行うためです。
なお中国では「現品票」を中国語訳してそのまま「现品票」という場合や、「メーカー現品票」と「社内現品票」など種類が異なる場合もあるため「メーカー現品票」を「客户明示卡」、「社内現品票」を「社内纳入指示票」と呼ぶ場合もあります。
サプライヤー側はメーカーから入手した「メーカー現品票」をそのまま自社製造工程で利用する場合、自社管理項目がメーカーと異なるため「メーカー現品票」を元に、自社管理項目を追加した「社内現品票」を発行して、製造工程で利用する場合があります。
いずれにしても製造が完了した場合、完成した製品に貼り付けられている「社内現品票」は「メーカー現品票」に貼り替えを行い、メーカーへ出荷されます。
上記のような流れを元にメーカーと各サプライヤーで製造管理を行っており、例えば製品を作る場合にサプライヤーA社の製品A・サプライヤーB社の製品B・サプライヤーC社の製品Cが必要な場合は、メーカーと各サプライヤーが同じスキームで運用を行い、最終的には各サプライヤーの製品A・製品B・製品Cをメーカーが入庫し製造を行う運用となっています。
現品票の運用でよくある問題点について
工場内で「現品票」を利用する場合に、既存運用で作業負荷や問題視されている点として、1)メーカーから提供された現品票がPDFで提供の場合。2)出荷時に「社内現品票」を「メーカー現品票」へ貼り替えを行う作業時です。
メーカーから提供される現品票は、現在WEBサイトからExcelデータでの入手やメーカーとサプライヤーが共通したシステムを利用して、サプライヤー側は指定サイズの現品票を発行する運用を行う体制もありますが、中国では「PDF」で保存された現品票をサプライヤーへ提供する運用が多く、受け取ったサプライヤー側はPDFをコピー機で印刷を行い、カッターや裁断機などでカットする作業を行っています。
この運用は作業負荷・安全面の問題もあり、PDFデータをラベルプリンターで印刷して作業負荷を減らす運用、またラベルプリンターからフォーマットの関係で印刷が出来ない場合は「弊社パッケージソフト」にて、PDFを編集して所定の現品票のサイズで印刷発行の運用で効率化と安全面、コスト面をカバーすることが可能です。
また完成した製品をメーカーへ出荷を行う際に「社内現品票」から「メーカー現品票」への貼り替え作業が発生しますが、この場合に二種類の現品票に記載されている品番を間違えて異なる現品票へ貼り替えてしまうミスも多く、「現品票」にQRコードの情報を追加し、ハンディーターミナルを使って「二種類の現品票を照合(二点照合)」を行い貼り間違えを防止したり、作業時にカート入数の確認も必要であれば「実際の製品数とのチェック(三点照合)」を行い出荷を行うなどの対応を行っています。このデータチェックのデータを活用してリコール対策にも利用を行うことが可能です。
「現品票」の運用については、各社で運用が異なっておりますが大多数の自動車業界のサプライヤーではPDFを受信した運用を行っており、「通例の日々の業務」と思ってしまい改善や効率化が望める事をご存知ありません。そのため弊社パッケージソフトのデモ版をご利用いただき、実際に「PDF発行業務の切り替えテスト」を体験して頂くようにしております。現場効率化にご興味がある企業様、是非デモ版のお問い合わせ下さい。