トレースシステムの基本として製品の個体管理があります。個体管理を実施すると、どのような部分が企業に取ってメリットとなるのでしょうか。ここでは個体管理の実施前と実施後の製品回収の事例を元に実施前の問題点と実施後のメリットをご紹介したいと思います。
この記事の目次
・個体管理をしていない製品回収について
・個体管理をしている製品回収について
個体管理をしていない製品回収について
川上の中国側で個体管理を実施していない原料を出荷して二次加工を日本側で行う場合。中国側で出荷した原料に問題が発生すると回収対象となる製品は、同じ原料を使用し製造した全ての製品が対象となります。理由は原料全てにロット管理がされていないため、原料の個体特定ができずに製品回収の範囲を広げるしかないのです。
ロットなど個体管理ができていないと先ほどご紹介したように回収製品の範囲が広くなり、個体数が多くなってしまいます。また回収時の物流費用やアナウンス広告費、作業スタッフの人件費などの回収コストも多くなります。回収製品の数が多いとそれだけ製品が社会に多く出回っているので、回収対応の時間や製品を特定する時間も長くかかってしまい、回収した製品を再加工できない場合は全て廃棄となり廃棄ロスも莫大になります。
個体管理をしている製品回収について
出荷される原料の個体管理を実施した場合。同一原料でもロット番号などで個体管理をしていれば、問題が発生した原料の特定が可能です。問題が発生した原料ロットを特定し、特定したロットの原料を使用した製品管理していれば、回収対象となる製品の数は大幅に少なくなります。
原料の個体管理を実施すれば、回収する製品の数量が大幅に少なくなります。回収する数量が少なくなるため、個体管理をしていない場合と比べると回収時の物流費用やアナウンス広告費用、作業スタッフの人件費などの回収コストが抑えられ、回収作業も短時間で対応が可能となります。なお回収後の廃棄ロスを抑えることが可能です。
個体識別の実施はコスト面や時間短縮化が改善されるだけでなく、スピーディな回収対応は企業信頼を得るツールとして利用することができます。
回収対象品が多く回収作業に掛かる費用が大きいと、企業に対しての信用問題だけでなく企業運営にも影響を与えかねません。そのため個体管理の実施はトレーサビリティーの足がかりを作り問題範囲の特定と迅速化に繋がるのです。