食品や自動車パーツ、家電の製造において問題が発生し回収作業を行う場合、トレース情報を元に製品回収を行う必要がありますが、その場合に必要となるのが製品の個体管理と各工程のデータ収集です。

収集したデータを元にトレースを実施するのですが、トレースと一口に言っても二種類のトレース方法があるのをご存知でしょうか?ここではトレーサビリティシステムを導入する上で知っておきたい、トレース方法をご紹介したいと思います。

この記事の目次

・川上から川下へトレースを実現する、トレースフォワードとは。
・川下から川上へトレースを実現する、トレースバックとは。
・トレースバックとトレースフォワードの連動とは。

川上から川下へトレースを実現する、トレースフォワードとは。

トレースフォワードとは川上から川下に沿っていくトレース方法です。

例えば原料Aを使い製造ライン1と製造ライン2でそれぞれ製品-1と製品-2を製造する場合。原料Aに問題があれば製造ライン1と2の製造工程が正常でも、原料Aを使い製造した製品-1と製品-2は回収対象となります。

また原料Bを使い製造ライン3と製造ライン4でそれぞれ製品-3と製品-4が製造された場合。製造ライン4で問題があれば回収対象は製品-4のみ。同じ原料Bで製造した製造ライン3の製品-3は回収対象になりません。

このように問題が判明した後にどのような工程を通過しても基本的には全て回収対象となり、ターゲットとなる製品をピンポイントで判断することが可能です。
トレースフォワードの説明図

川下から川上へトレースを実現する、トレースバックとは。

トレースバックとは川下から川上へ時系列に遡っていくトレース方法です。

例えば製品-2という製品に問題発生した場合。この製品は原料Aと製造ライン2で製造されているので、まず製造ライン2を調査、問題が無ければ次に原料Aに遡って調査を行い問題点を特定します。

問題発生した場合に対象製品の工程情報を遡って調査を行い、どの工程が問題なのかを特定する必要があります。
トレースバックの説明図

トレースバックとトレースフォワードの連動とは。

トレースバックで調査し原因箇所を突き止めた場合、原因箇所によっては再度トレースフォワードを実施して、回収対象の範囲を広げる必要があります。

例えば製品-2に問題発生した場合。この製品は原料Aと製造ライン2で製造しているので、まず製造ライン2を調査し製造ラインに問題が無ければ次に原料Aに遡って調査を行い問題点の特定を行います。

原料Aが原因箇所だった場合はトレースフォワードを実施。原料Aで製造した製品-1も回収対象とする必要があります。

そのためトレースフォワードとトレースバックは相互関係があり、全てのトレースを実現するには、製造工程の川上から川下に沿ってデータ収集とデータ蓄積し、製品情報と通過した工程情報が紐づくように管理する必要があります。
トレースフォワードとトレースバックの相互関係

ただし全工程のデータを収集し蓄積するシステムを一括で導入する場合、費用もかかりプロジェクトを進める上での人材の確保など、日本と違い中国での導入は責任者となる日本人が各業務を兼務している場合も多く、日常業務と並行しながらの導入難しい可能性もあります。

そのため既存で手入力管理をしているトレース情報があれば、既存作業を残し比較的導入が進めやすい出荷に関するトレースシステムから始め、徐々にシステム範囲を広げて工場全体のシステム化を行うなど、各ステップ別の導入をご提案しています。

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