工場から出荷される製品について出荷ラベルで個体認識しトレース情報を収集する方法をご紹介しましたが、同じように製造工場に入荷される製品(原料や加工品など)に対してトレース管理に有効なベンダーマーキングをご紹介したいと思います。

この記事の目次

・工場入庫時に浮かび上がる統一されない各サプライヤーのラベル問題
・工場運用の合理化を推進するベンダーマーキングによるラベル統一化

工場入庫時に問題となる各サプライヤーの統一していないラベル

メーカー工場で製造するために各サプライヤーより製造する製品の元となる原料や加工品などの製品をメーカー工場倉庫へ入庫しますが、入庫時に問題となるのが各サプライヤー製品の在庫管理問題です。

各サプライヤーで製品の管理方法は様々。製品の外装箱にラベルが貼られていない、ラベルを貼り付けていてもロット情報や製造日付などの情報がない、ロット情報や製造日付などの情報があってもQRコードや一次元バーコードなどの情報がない、QRコードや一次元バーコードがラベルに印刷されていても管理項目の情報は各サプライヤーで様々でメーカー工場では活用できない等、ラベルの有無に関わらずメーカー工場内で利用を行うためには、多くの改善点を解決する必要があります。

そのため各サプライヤーからメーカー工場に入庫されると、製品に対してメーカー工場で利用される統一ラベルを発行して製品に貼り付けを行います。貼り付けする理由は工場の倉庫で先入先出を含めた在庫管理への利用や、工場での生産管理で利用を行う為です。

工場運用の合理化を推進するベンダーマーキングによるラベル統一化

各サプライヤーからメーカー工場に入庫した後にラベルを張り替える運用は可能ですが、メーカー工場内部での張り替え作業に時間が必要となるため、余り効率的と言えない部分が残ります。

そこで登場するのが「ベンダーマーキング」と呼ばれる運用方法です。メーカー工場が入庫時に必要とする情報に基づき各サプライヤーが製品に統一ラベルを貼り付けて出荷する方法です。

ここでは二種類の「ベンダーマーキング」の方法をご紹介したいと思います。

まず一つ目は必要となる統一ラベルをメーカー工場側で発行して準備。各サプライヤーへ配布して利用。配布としては実際にラベル発行をして実物を配布する方法とPDFなど統一ラベルデータを出力して各サプライヤーへデータを送信。各サプライヤーで統一ラベルを発行する方法があります。この運用で問題となるのは、製品にリアルタイムでラベルを貼り付ける訳ではないためQRコード内部にロットや日付情報を保存しても正しく製品に貼り付けを行い出荷されるか、品質管理を各サプライヤーに委任しなければなりません。

各サプライヤー側が貼り間違え等を起こすと日付情報に誤りなどが発生します。導入としては比較的簡易に行えますが、日付管理を厳格に行いたい場合には運用面を含めて検討を行う必要があります。


もう一つの方法として各サプライヤー自身が統一ラベルを発行して出荷製品に貼り付ける方法です。この方法を導入すると出荷製品にリアルタイムでラベル発行が実現されるため、日付情報なども精度の高い情報を利用することが可能となります。

システム管理はメーカー工場側で行い、各サプライヤーはラベル発行で利用するデータはWEB経由で入手し発行を行います。

各サプライヤー側で準備したパソコン端末に発行ソフトをインストールして発行するシステム管理方法もありますが、この端末インストールタイプのシステムの場合は、メーカー工場側が必要とする製品情報やラベルフォーマットの変更があった場合に、各端末のソフトの更新が都度発生して運用が煩雑になってしまいます。

またインストールしたパソコンの日付を変更すると出荷日付を簡単に変更が出来るため、情報改ざんを起こしてしまう可能性もあります。

そのためWEB経由の統一ラベル発行システムで各サプライヤーは発行データを入手してラベルを発行し製品に貼り付けメーカー工場へ出荷を行います。製品を入庫したメーカー工場側は張替え作業などの手間もなく入庫が可能となります。


工場が求める管理方法によってベンダーマーキングは選択が可能です。初期導入としてメーカー工場側で準備を行い対応。統一化により運用が効果的になった後に日付管理などの管理が厳密化した場合に、WEB経由で更に利便性を上げるなどのステップアップする方法も可能です。

またベンダーマーキングを行い発行されたラベルについては、入庫時にスキャン作業を行う事で入庫実績とトレース管理して活用できる以外に、発行データと入庫データの差異が無いか等の調査などの活用が可能です。

お客様の運用状況や目指すべき目標などに合わせて、システム導入をご紹介しております。

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